建設業未経験ですが訓練に参加できますか?
大丈夫です。訓練の参加者は建設業未経験者がほとんどです。訓練では、建設業で実際に働いているベテランの職人さんたちが親身になって指導します。未経験だからこそ仕事に真っ直ぐに向き合い成長
2022年10月〜11月にかけて職人育成塾が実施されました。
未来の職人を目指す塾生7名と、卒塾生の方々の声をお届けします。
岡田 浩弥さん 選択職種:設備・電気系
幼い頃から何か新しいものを生み出せるような仕事に憧れを持っていました。これまでイタリアンのお店で料理人をしたり、IT企業でデスクワークをしたりと、いろいろな経験をしてみたのですが、それでもものづくりに携わりたい気持ちが変わらなかったので、入塾を決意しました。実際に学び始めてみると、同期のほとんどが建設業未経験者ばかりで、年齢もバラバラ。そんな人たちが一緒になって、ああでもない、こうでもないとわいわい言いながら作業をするんです。毎日が文化祭みたいで楽しかったですね。ここへ来て一番よかったことはそんな同期との出会いでした。
吉野 未悠さん 選択職種:軽天
大阪にある特殊メイクの専門学校を卒業後、動物園や水族館のオブジェを製作している会社に内定が決まっていたのですが、新型コロナの影響で内定が取り消しになってしまいました。それをきっかけに就職したのが塗装業です。そこでものづくりの楽しさに夢中になり、もっといろいろな職種を知りたくて入塾しました。建設業は、女性が働くには厳しいといわれる世界です。でもその分、目立つことができるし、誰よりもかっこよくなれるはず。手先の器用さは誰にも負けないし、女性にしかできないこともあると思います。目指すは男性に負けない、一流の職人ですね。
三好 真さん 選択職種:木工・軽天
職人育成塾のことは新聞記事で知りました。私は木工が趣味で、カーオーディオやアンプのボックスなどを作っていたこともあり、すぐに「これは絶対におもしろい塾に違いない」と直感しました。ですが、当時はシステムエンジニアとして勤めており、受講は難しかったので、思い切って退職して入塾したというわけです。たとえ建設業界に勤めなかったとしても、必ず何かの糧にはなると思っていますね。講師の方々の教え方がすばらしくて、私が作業を間違っても、まず失敗するまで見守ってくれるんです。おかげで職人に対する怖いイメージは180度変わりました。
多田 裕敬さん 選択職種:塗装・軽天
働いていない期間があり、とにかく行動がしたくて入塾しました。ここでの生活が始まった当初は緊張していましたが、同期が本当にやさしい人たちばかりで、すんなり輪に入れたのはみんなのおかげです。一緒に遊びに出かけたり、居酒屋へ食べに行ったりと、いつも何かを企画していたのは本当によい思い出になっています。これから受講を考えている方のなかで、もし迷っているようであれば、とりあえず動いてみることをおすすめします。今まで見えなかった景色が見えて、世界も広がるはず。私がそうでしたから。おかげで、進むべき道が見つかりました。
中村 竜二さん 選択職種:軽天
香川県の小豆島で船舶の整備士をしていました。大好きな仕事だったのですが、会社の事情で倒産してしまったので、少しゆっくりしようと考えていたところに、この塾を知って興味が湧き、参加しました。現役の職人である講師の方々から丁寧に細かく教われるので、とにかく勉強になりました。また、同期に明るい人が集まっていたこともあり、授業中でも賑やかになることがあったのですが、そんなときも講師の方々は「厳しさも必要だけど、楽しく学ぶに越したことはない」と、寛容に接してくれました。だからこそ、同期の団結力が生まれたんだと思います。
長谷川 秀一さん 選択職種:軽天・設備
以前、家の近所でマンション建設があって、何もなかった土地に足場が組み上がり、内装が仕上がっていく様子を見る機会があったんです。大変な仕事でもあるけど、人の手で物を作り上げる魅力にどんどん惹かれていきました。それから自分も手に職をつけたいという思いが強まり、建設業で働こうと決意。9職種を経験できる当塾を選びました。受講中に講師の方から言われた忘れられない言葉が「人生はRPGだ」ということ。人生はゲームの主人公のようにいろいろな挑戦ができます。でも、選択肢を選ぶのは自分自身。僕はここへ来る選択をしたことが正解でした。
辻 祐司さん 選択職種:木工
前職で舗装を8年ほど経験したことや、鳶(とび)職にも携わったことがあり、外装工事のおおまかな流れはわかりますが、内装工事の知識はほとんどありませんでした。そこで、建物の内側の構造や仕上げ方に興味が湧き、学びたいと思ったのが入塾のきっかけです。実際に現役の職人から技術を教わることができて、これまで疑問だった内装について知ることができただけでなく、職人として大切なことも教えてもらいました。その一つが掃除の大切さです。地味な作業でも、必ず誰かが見てくれているもの。その小さな積み重ねが信頼を生む。人として大事な気づきを得られました。
(一社)職人育成塾 橋本 秀人さん
私が大切にしているのは、誰もが学びやすい雰囲気づくりです。生徒の年齢は10代から50代までと幅広く、経験者もいれば知識ゼロの初心者もいます。でも、受講する目的は一つで、やりたい職種を見つけて就職することにあります。生徒たちに伝えているのは、ここでは仕事が遅い、早い、出来がいい、悪いはなく、競争も必要ない。最後に自分がやりたいことを見つける。そのサポート役が私の仕事だと思っています。
職人育成塾では卒塾生が講師のサポート役として訓練に携わっています。
株式会社 幸和 園藤 雅之さん
建設業に就く前、地元香川でうどん屋を夫婦で営んでいました。ですが、妻が育児で働けなくなったのをきっかけに当塾で学び、建設会社へ就職しました。つまり、当時は私も建設業はまったくの素人。だからこそ、生徒たちの心境は先輩としてわかるわけです。これから違う世界で生きようとチャレンジしにきている彼らに教えながらも、反対に私が気づかされることはたくさんあります。例えば、仕上がりがうまくできたときは、本当にうれしそうに喜んでくれます。たった一度の成功をこれほど喜ぶのかと、驚くくらいです。でも、おそらく私もそうだったはずです。それが、段々と仕事に慣れていくなかで、気づけば感動も薄れていきます。仕事を楽しみ、喜ぶ。生徒たちはそんな初心を思い出させてくれます。そんな生徒たちを、怪我なく安全に卒業させるのが私の役目だと考えています。
新日本建工株式会社 山口 直人さん
今期の塾生の方々も本当に元気がいい人たちばかりです。私もこの塾の卒塾で、2期生として通っていましたが、当時の講師たちから「うるさい!」とよく叱られていましたね。だからか、今学んでいる方々を見ていると懐かしさを感じます。通っていたのは2カ月ほどでしたが、寮生活は今でも鮮明に覚えていて、生徒としての思い出は楽しいものばかりです。あの頃に教わったもののなかで特に印象深いのが「とにかく聞くことが大事」という言葉。わからないことがあったらすぐに質問する。そのように教わり、言われた通りに講師の方々に何でも質問していたのを覚えています。私も知識ゼロから入塾したので、最初は怒られてばかりなのかと思いましたが、真逆で、ずっと隣について教えてくれました。支えてもらった分、今度は私が次の塾生の方々へ還元していきたいです。
國方工務店 城 慎也さん
私は令和4年度に入塾し、今は大工として働いています。当塾の一番の魅力は経験豊富な現役の職人から直接教えてもらえることではないでしょうか。私もここで講師の方に一から教わりましたが、実は今の親方がそのときの講師なんです。講師のときの親方の技術には驚いてばかりでしたが、いざ現場へ出てあらためて見る技術のほうがさらに優れていて、もっと学んでいきたいと思っています。塾ではOBとして生徒さんのサポートをしていますが、一番気をつけているのが、怪我をさせないこと。丸鋸や刃物を扱うので大きい怪我につながりやすく、注意が必要です。でも、失敗することも同じくらい大切だと思っています。私もまだまだ未熟で、現場で失敗もします。でも、だからこそ事前の準備や入念な確認が大事なことに気づけるんです。そうした実践的な学びを得られるのも育成塾ならではですね。
香川県高松市にある職人育成塾は、廃校となった小学校を活用し、教育訓練を行っている。
校内の各教室を使って9職種の実習を行う
職人育成塾では、訓練期間内に内装、電気設備、タイル工事、左官、塗装業など、9職種を体験できるのが特徴の一つ。自らの得意分野や興味のある職種を探すことができる。
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クロス・床貼りの実習場
講師は現場経験が豊富な職人たち。実習では細かな技術を間近で見ながら教わるので、成長スピードも自然と速くなるのだとか。
座学は黒板を前に受講現役の職人である講師から“現場で使える”知識を学ぶ
少人数なので、塾生一人ひとりの理解度に合わせた授業を受けられる。講師との距離も近いので、なんでも相談できるのも特徴の一つだ。
自炊できる調理室、食堂でもあり、昼食時は塾生で賑わう
調理器具や食材は塾生の持ち込みで、それぞれが好きな料理を調理して食べるスタイルとなっている。
もともと音楽室だった教室で行われる朝礼
昼食時も賑やかなまま笑いが絶えない
校内生活についてのお知らせが並ぶ掲示板