HOME特集を見る > START Interview|建設業で新たな道へ“START”した修了生 第1回 東北クレーン塾

第1回 東北クレーン塾

令和4年度第1回東北クレーン塾を受講後、クレーンリース業を展開する東北ビルド株式会社にオペレーターとして就職した千葉美幸さん。偶然見かけた「ウェルカム」でクレーン塾の募集を見つけたのをきっかけに、重機に乗るという幼い頃からの夢を見事実現させました。そんな千葉さんに、受講の経緯や訓練の様子、また仕事内容などについて伺いました。


PROFILE
修了コース : 令和4年度 「第1回東北クレーン塾」
訓練期間  : 令和4年10月17日~11月11日
取得資格  : 大型特殊免許教習
        移動式クレーン運転士実技教習
        移動式クレーン運転士学科試験


クレーン塾の募集を見て「これは運命だ」今ではクレーン車が私の相棒

── 訓練を受講したきっかけはなんですか?
 建設重機が大好きだったからです。幼い頃から建設業や重機に興味がありました。東日本大震災を機に実家のある岩手県一関市に帰郷し、その際に建設業に携わりたくて、建設会社で現場事務員として働き始めたのですが、どうしても重機に乗る夢をあきらめたくなくて、建設重機の資格を取得しようとハローワークへ行った時、目にしたのがウェルカムです。そこで「クレーン塾」の募集を見つけ、これはチャンスだと思いすぐに応募しました。

── 重機の中でもクレーン車を選んだ理由はなんですか?
 クレーン車は建設現場の中でも花形というイメージがあって、いつか乗ってみたいと思っていました。いまや建設業は女性も活躍できる仕事だと知っていたので「これしかない!」 と思い、募集期間を見てまだ間に合うとわかった時、「これは運命だ」と興奮したのを覚えています。

── 受講してみた感想を教えてください。
 実際にクレーン車を目の前にすると、思った以上に大きくて尻込みしてしまいました。「本当にこれを運転できるのだろうか?」と不安になったくらいです。特に大型特殊免許教習ではうまく運転することができずくじけそうになりました。トレーラーに乗っていた父に電話をして、運転のアドバイスをもらい、モチベーションを上げて頑張りました。

── 印象に残っているカリキュラムはありますか?
 社会人としてのビジネスマナーの授業です。お辞儀の角度など、今までの社会経験ではなかなか習う機会がありませんでした。また、特に私たちの仕事は、現場で色々な職種の人と作業をすることがあります。コミュニケーションをとりながら作業をスムーズに進めるためにも、あいさつやビジネスマナーは本当に大事なカリキュラムだったと思います。

── 東北ビルド(株)に入社した経緯を教えてください。
 絶対に入社したかったので、受講後に今の仕事に必要な資格をすべて取ってから面接に臨み、どうしてもクレーン車に乗りたいことを、熱意を込めて伝えました。おそらく社長は驚いたと思います。だって、初対面で「免許はすべて取ってきました、実務経験はないけど乗せてください!」と、熱く語り出すんですから(笑)。でも、社長はやさしく「まずは整備やサポート業務などから始めてみましょう、ぜひ来てください」と言って、採用してくれました。意欲を見せることは本当に大事だと思いました。

── 現場デビューした時のことは覚えていますか?
 3カ月が経った頃に一人で現場へ行くことになったのですが、現場の大工さんから「オペレーターを代えてほしい」とクレームが入り、大きな挫折を経験しました。私があまりに手際が悪かったのが原因でした。その時、「クレーン車に乗るのが怖い」と、心が折れてしまったんです。

── どのようにして乗り越えたのですか?
 まず教育担当の菅原涼さんに相談しました。悩みを打ち明けると、「まだ始めたばかりだし、できなくて当たり前だよ」と言ってもらえたことが救いでした。それから訓練してもらい、「もう大丈夫」とお墨付きをいただくと、クレーン車が言うことを聞いてくれるようになったのは不思議でした。自分でメンテナンスをして、時間がある時には自主的に練習しながら現場経験を重ねていくうちに、少しは自信を持って乗れるようになりました。現場でうまく操作できるようになると、色々な職種の人との関係も良好になってきて、仕事がどんどん楽しくなっていきました。

── クレーン車は相棒みたいな存在なわけですね。
 はい。整備や操縦を繰り返しているうちに調子が悪い所があればすぐに分かるようになりました。現場がない時でもクレーン車を動かすようにしています。最高の相棒だと思っています。東北地方では寒さや雪で車体やワイヤーやジブコードリールが凍っていることがあります。また、夏の暑さでオイルや燃料があふれ出したり、タイヤが勝手にパンクしたりすることがあります。クレーン車の点検は毎日欠かせません。

── 今後の目標を教えてください。
 今は13トンのクレーン車に乗ってるので、いずれは16トンに乗れるようになりたいです。今はまだ練習中なのですが、クレーンによってレバーの握り方や操作方法が違うので、慣れるまでもう少し時間がかかりそうです。でも、この先経験を積んでいって、最終的には25トンに乗るのが目標です。

すばらしい仕事。女性に挑戦してほしい

── 女性でも活躍できますか?
 もちろんです。昔と違って女性用トイレがある現場が増えています。環境的にも働きやすくなってきています。もっと女性オペレーターが増えてほしいので、少しでも興味があれば一度はチャレンジしてみてください。仕事観が100%変わります。挫折することもあると思いますが、私はこの仕事に就けて、本当にすごく幸せです。夢だったからこそ、クレーン車に乗れて働けている事にも会社のみなさんにも感謝しかありません。本当にすばらしい仕事です!この感動を味わってほしいです!!

── クレーン塾の受講を検討されている方へメッセージをください。
 迷っているなら、絶対に受けたほうがいいと思います。私はクレーンに乗るのが夢だったので、あきらめなかったし、くじけませんでした。私と同じように、重機に乗ってみたいと思っているとしたら、その気持ちがあるだけでもこの仕事に向いていると思います。「好きこそものの上手なれ」です。



採用企業の声

── 千葉さんを採用した理由を教えてください。
 初めての女性オペレーターを迎えるにあたって、私をはじめ社員全員でセクハラ講習会を行い、誰もが気持ちよく働ける環境を整えるなど、考えられる限りの準備をしました。千葉さんにとってはクレーン車に乗るという夢を叶える職場になります。当然、不安もあるだろうし、彼女の気持ちを考えたら、こちらもやるべきことはしっかりとしておきたかったんです。

── 千葉さんに期待していることはありますか?
 彼女はしっかりと自分で目標を立てているので、事故やトラブルに気をつけて働いてくれれば、自然と成長していくと思っています。伸び伸びと元気に働いてくれれば私としては十分です。そのために、会社として福利厚生や子育て支援など、社員が活躍できる環境の整備を続けていくことが私の仕事だと思っています。

講師の話

── 入社したばかりの頃の千葉さんはいかがでしたか?
 働き始めた頃はまだ経験も浅いので、かなり慎重になっていたと思います。それが徐々に現場経験を積んできたことで、自分でも少しずつ上達している感覚はあるはずです。指導する上ではあまり強く言わないように気をつけていたのですが、千葉さんはコミュニケーション能力が高く、気さくな性格だったので、その点はとても助かりました。

── オペレーターにとって大切なことはなんですか?
 日頃の点検や整備の知識を身に付けることがとても大切だと思っています。私から見ても千葉さんはクレーン車を大切に乗っているのがよくわかります。整備についてもがんばっている姿をよく見かけます。だからこそ、成長が早いのだと感じています。

── 教育担当として彼女をどのように見ていましたか?
 クレーンオペレーターは一人でクレーン車に乗って現場へ行くので、1年目から当然のように一人前の腕を求められます。この仕事を始めたばかりの頃は、クレームに繋がることが少なくなく、彼女もそうでした。目の前の操作に手一杯で、周りが見えていませんでした。私たちの仕事は、クレーンの技術も大切なのですが、実は誘導する相手に合わせる能力が一番必要なんです。

── 相手に合わせる能力とは?
 常に受け手のことを考えながらクレーンを操作することが大事で、そこを重視して私は指導しています。相手にケガをさせないように、安全に一日のノルマを達成することが重要で、彼女も今ではそれを理解してくれています。



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