建設業未経験ですが訓練に参加できますか?
大丈夫です。訓練の参加者は建設業未経験者がほとんどです。訓練では、建設業で実際に働いているベテランの職人さんたちが親身になって指導します。未経験だからこそ仕事に真っ直ぐに向き合い成長
令和2年度土木コースを受講後、主に土木工事業を展開する株式会社トータル・オフィス・ムカイに就職した狩野和晃さん。自身の成長につながる場を求めて転職活動を始め、今は充実した生活を送れるようになったとか。そんな狩野さんに、受講のきっかけや訓練の様子などについて伺いました。
PROFILE
修了コース : 令和2年度 「第2回土木コース」
訓練期間 : 令和3年1月25日~2月26日
取得資格 : ローラーの運転業務に係る特別教育
丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育
車両系建設機械運転技能講習
(整地・運搬・積込・掘削)
車両系建設機械運転技能講習(解体)
玉掛け技能講習
小型移動式クレーン運転技能講習
自由研削といし特別教育
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育
── これまでの経歴を教えてください。
高校卒業後、最初に勤めたのが食品会社です。その後に高速道路の道路舗装を行う会社に入社し、8年間ほどアスファルトを敷いたり、ローラーで転圧したりする作業に従事していました。ですが、夜間工事がメインで、昼夜逆転した生活から体調を崩してしまったことがきっかけで転職を決め、職探しを始めたのが今の仕事に就いた経緯です。入社は2021年3月で、現在は建設現場の施工管理と安全管理を主に担当しています。
── 訓練を受講したきっかけは何ですか?
前職を退職したあと、ハローワークに通っていたのですが、そこで「建設業ウェルカム」を見て、重機の免許を取得できる土木コースに魅力を感じたのがきっかけです。もともと日々の仕事の積み重ねで技術力を高めていくことができる建設業で働き続けたいと思っていたので、すぐに受講を決めました。また、バトミントンを小学校から続けていて、社会人チームに所属した経験もあり体力に自信があったので、体を動かす仕事に就きたかったというのも理由の一つです。
── 土木コースのカリキュラムで印象に残っているものはありますか?
実習が多いのが印象的でした。特におもしろかったのが、バックホー(油圧ショベルの一種)を使ってコンクリートブロックの小さな穴に空き缶を入れる練習です。講師の澤口さんが考えたもので、バケット(ショベル)をうまく使って空き缶を穴へと落とさないといけないのですが、これが難しいんです。何度も失敗しましたが、この遊びのような訓練は技術力を高めるのにとても役立ちました。現場に出ると、重機で繊細な作業を行うことは安全面においてもとても重要で、実際に求められる技術です。それを受講中に経験できたことはラッキーでした。
── 実習が現場でも活かされているのですね。
はい。講師陣は建設業を長く経験しているベテランの方々なので、技術的なこと以外にも、現場でのコミュニケーションの取り方などについてたくさんのアドバイスをいただきました。職人さんといえば、荒々しかったり、大声を張り上げていたりするイメージが一般的にあるかもしれません。しかし、実際は黙々と手を動かす寡黙な方も意外と多いんです。そうした方にはまず自分からあいさつをして距離を縮めることが大切です。また、私たちは未経験者と違い、職業訓練を経ているので、カリキュラムを話題にするなど会話に困らないことも強みになると教えていただきました。
── 訓練生同士の関係や受講中の雰囲気はいかがでしたか?
建設業経験者がほとんどいなかったこともあって、訓練に対して全員が真剣に取組んでいました。重機の運転も休み時間まで使って練習していたほどです。仲間意識も強くて、なかには人見知りをする方もいましたが、みんなで声を掛け合いモチベーションを高め合うなど、講師を含めてチーム一丸となって学んでいた感覚でした。
── 今後の目標について教えてください。
まだまだ半人前ですが、努力していけばきちんと評価してくれる会社に入社でき、信頼できる先輩方とも出会うことができました。おかげで昨年末には結婚することができ、私生活も充実しています。少しでも早く一人前になって、職場でお世話になっている方々に仕事で恩返しをすることが当面の目標ですね。
── 訓練修了生、受講を検討されている方へのメッセージ
受講のきっかけは興味本位でかまわないし、未経験でもまったく問題ないと思います。そもそも講師陣も私たちが未経験者で何もできないことを前提で教えてくれます。知識ゼロのまま建設業に就職するよりも一歩リードした状態で現場に出ることができるので、まずは受講してからの入職をおすすめしたいですね。
訓練修了生は建設業で働くことを自ら希望し、訓練を乗り越えて入社してきます。つまり、やる気のある人材なので、当社も一からしっかりと育てようという覚悟を持って受入れを決めました。
また、最低限必要な資格も取得しているので、現場での作業にスムーズに入ることができます。実際、狩野君も入社後すぐに線路の復旧工事に携わってもらいました。もちろん初めての現場経験ですので、戸惑いながら作業を進めていたのですが、それでも自分がわからないことは何でも質問してくる姿勢に感心させられました。
彼には今後、工事の品質・安全・工程・コストにまつわる管理一切を任せていく予定ですが、やはり一人前になるには1、2年はかかります。ただ、彼には一つひとつの仕事を前向きに捉えて取組む姿勢があります。すぐに一人で現場を管理できるようになってくれることを確信しています。
私は訓練の場において、生徒と講師の間にまず信頼が必要だと考えています。そのためにもお互いに腹を割って話せる雰囲気づくりや、全員が切磋琢磨できる関係性を築くことを意識しています。なぜなら、現場がまさにそうで、仲間との信頼関係が何より大事になるからです。雰囲気の悪いなかでよい仕事などできません。現場でのコミュニケーションの取り方についても訓練を通してお伝えしています。
私が考える建設業の魅力の一つが、たしかな技術を身につければ職を失うリスクが減ることです。実際、コロナ禍でも作業が止まった現場は少なかったはずです。また、働き方改革も進んでいて、かつては「叱って教える」「見て学ぶ」ことが基本だと考える職人もいましたが、今はそうした職場も少なくなってきています。建設業はやる気さえあれば活躍できる世界。私たちが全力でサポートしますので、ぜひ飛び込んできてください。